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(レーベル解説より抜粋)
'90年代中盤、CDスキップを使用したエポック・メイキングな実験電子音響作品を世に送り出し(2022年発表されたPitchforkの『The 150 Best Albums of the 1990s』にて1995年作『94diskont.』が132位にランクイン)、エレクトロニック・ミュージック(電子音楽)の新たな可能性を提示し続け、世界中にフォロワーを拡散させた独ベルリン在住の音楽家、オヴァル(OVAL)ことマーカス・ポップ(Markus Popp)。
2020年1月リリースの『SCIS』(THRILL-JP 51 / HEADZ 243)以来のワールドワイド・リリース(米シカゴの老舗インディー・レーベルThrill Jockey Recordsより)となるオヴァルの最新アルバム『ROMANTIQ』にて、マーカス・ポップがまたしてもエレクトロニック・ミュージックの可能性の領域を拡張した。
「ASMR 2.0」とも呼ばれた、2021年12月に発表された女優Vlatka Alecとのアートプロジェクト作品(マーカス自身のレーベル、UOVOOOからのOVAL名義でのリリースとなった)『OVIDONO』(SOのエリコ・トヨダも参加)で実践されたモダン・クラシカルなサウンド・クリエイションを発展させ、『OVIDONO』のアルバム・カヴァーを担当したデジタル・アーティストRobert Seidel(ロベルト・ザイデル。ドイツのイエナ出身で、現在はベルリンを拠点に活動。『ROMANTIQ』のアートワークも担当)とのオーディオ・ヴィジュアルなコラボレーション(2021年9月に開館したDeutsches Romantik-Museumのグランド・オープニング用のコラボレーション)が契機となり、「ロマン主義」「ロマンティック」をリサーチ & アップデートし、作品に落とし込むことに成功している。
かつてのフォークトロニカ、ポスト・クラシカルとは一線を画した、2010年の『O』以降、職人芸のように磨き上げた、生楽器(オーガニック)とエレクトロニクス(デジタル)の境界線を曖昧にしたパイパーリアルなシミュレーションが更に緻密かつ洗練され、一方でマーカスの伝統的な音楽家(コンポーザー/メロディーメイカー)としての才能が最も分かり易く発揮された、圧倒的にオリジナルでロマンティックなオヴァル流ネオ・チャンバー・ミュージックを創り上げた。
膨大な情報量を、見事に昇華し、ノスタルジックでありながらフューチャリスティックでもある、繊細で優美な大傑作アルバム。
【Track List】
1. Zauberwort(ツァオバーヴォルト)
2. Rytmy(リートミー)
3. Cresta(クレスタ)
4. Amethyst(アメティスト)
5. Wildwasser(ヴィルトヴァッサー)
6. Glockenton(グロッケントーン)
7. Elektrin(エレクトリン)
8. Okno(オクノ)
9. Touha(トウハ)
10. Lyriq(リューリク)
11. Romantic Sketch A(ロマンティック・スケッチ A)
12. Romantic Sketch B(ロマンティック・スケッチ B)
※ Track 11,12 …日本盤CDみのボーナス・トラック
レーベル:HEADZ
規格番号:THRILL-JP 57 / HEADZ 258
フォーマット:CD