

***レーベル解説より***
禅の僧侶による『電子の共鳴箱』宗教家としての視座から楽曲を描く……
そんな試みを続けてきた現役の臨済禅僧が興したソロプロジェクトがHeteroduplex (ヘテロデュプレクス)」だ。
修行の傍らにアジアの聖地を巡って録りためたフィールド・レコーディング素材のコラージュと、親しんできた電子楽器のミクスチュアが無修無証の身体~アンビエントに染み込んでゆく。 それは、エレクトリカルな公案であり、経典を再編するかの如き意志による非ニューエイジ的な試みでもある。
2019年のトップを飾り、平成を締めくくるCDリリースの1枚は、臨済禅宗の現役僧侶によるソロプロジェクトHeteroduplex(ヘテロデュプレクス)のデビュー・アルバム「Without Words, Without Silence」だ。
このタイトルは禅語の「離却語言(りきゃくごごん)」を表し、”言葉を発せず沈黙せずとも、離(主体)と微(客体)が一つになることは無い”の意。禅の公案では言葉を弄しあらゆる感覚器官から刺激を差し込み、体験と身体感覚に訴え悟りの契機へと仕向ける。本作は電子音を弄した公案であり、内向きの心地よさで世界への無関心を誘う潮流への禅的申し立てとも言えるだろう。
Heteroduplexの核となるのは、’80年代よりサディサッズやニウバイルのギタリストとしての活動も続ける五十嵐義秀。マッシヴなビートに絡む繊細に歪んだギターワークが持ち味。1990年からの仏道修行で収集したフィールド・レコーディングをコラージュし、禅的視座に立った作曲・演奏と整合させるソロプロジェクトと同時に、ライヴでは変異導入を意図する即興的デュオ編成で、臨機応変に相方を変えながら演奏活動を行うという”二本鎖”コンセプトも期待される。
【Track List】
No Torch in Tibet
No Delusion, No Realization
Homoduplex
On the Cliff
Trip to Luang Phabang
Melancholia
Adoration to The Blue-necked One
Without Words, Without Silence
Fear & Greed
Until We Meet Again
Strawberry Moon
レーベル:φonon
品番:SPF-010
フォーマット:CD