

カルト的名盤となったデビュー作『Am』から、5年ぶりとなる2ndアルバム。バンドはこのアルバムのリリースまでに幾度となく活動休止を挟みながら活動を続けてきた。フロントマンのSteve Hartlettは、自身のソロ・プロジェクトからはじまったバンドStoveと、Ovlovの活動の曖昧な境界を行き来しながらここまでこぎつけた。
オープニング曲は、デビュー作のクロージング・トラック「The Great Alligator」を思い出させるタイトルの「Baby Alligator」。だが、ただの延長線上にはとどまらない。依存症と親友の死が影を落とす本作では、前作に比べても数段強烈なファズが鼓膜を覆い、同時にSteve Hartlettの刃物のような感情が鳴り響いている。思い知らされるのは、Ovlovは孤独・疎外・コミュニケーションの欠如に対する悲痛な叫びであるということだ。そして、リスナーは本作を聴き再確認させられるだろう。轟音は諸問題の解決策にはなりえない、だが一歩を踏み出すための弾みにはなるかもしれないということを。
LP-EIS-080C2
format:LP
label:Exploding In Sound
release:2024/02 *reissue
track list:
1. Baby Alligator
2. Half Way Fine
3. The Best Of You
4. Spright
5. Stick
6. Tru Punk
7. Fast G
8. Short Morgan
9. Grab It From The Garden