

ワールドスタンダードの楽曲を横山起朗がソロ・ピアノ・アレンジした音源集『Maebure』。プロデュースは鈴木惣一朗。ピアノ・アンビエントとしてBGM的に聴く事も可能ですが、やはり1音1音の流れ、間や纏う空気、響きが素晴らしく、聴き込むほどに引き込まる作品です。
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(レーベル解説より抜粋)
2023年5月に開催されたコンサート「Polish Pianism」での横山起朗の演奏を聴いた鈴木惣一朗が、その音色に惚れ込み、自らプロデュースを申し出て誕生した作品。
鈴木がワールドスタンダード名義で発表した数多くの楽曲のうち、2020年のパンデミック以降のアルバム3枚『色彩音楽』『エデン』『ポエジア…刻まれた時間』から横山が選び、ソロ・ピアノにアレンジ。2023年の秋から冬にかけて1曲ずつじっくりと録音された順に、そのままこのアルバムに収められました。
自作曲でない故に、横山がこだわったのは楽曲の核となる情感、フェルト・ピアノのような親密な響き、音色が纏う空気感。まるで手紙のように1編ずつ届けられる音源ごとに移ろいゆく気配を損なわないよう、丁寧にミックスとマスタリングが施され完成した本作。幾重にも重なるブルーの淡いレイヤーがうつくしい手折りジャケットとともに、このアルバムを届けます。
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『前兆・Maebure』
明け方、眠っていると、何かの気配がする。
外で「雪が降っているのかな‥」と思う。
寝室の階段を降りる。
仕事部屋のラップトップパソコンを開いてみる。
横山くんのピアノ・データーがメールで届いている。
「聴いてください」と書いてある。
データーを解凍して、彼のピアノの音を聴く。
その世界をのぞくと、再び「雪が降っているな」と思う。
横山くんのピアノは、しんしんと降る、あたらしい雪のようだ。
冬から、春に変わる気配と言ってもいい。
まるで、自然の息吹のようだ。
それは、良いことが起こる『前兆(まえぶれ)』のような音なんだ。
ピアノを聴き終えると‥いつもの静寂の世界。
自然と「ありがとう」という言葉が降りてくる。
横山くんのピアノは、そんな気持ちにさせてくれる。
いつも。いつまでも。
いつも。いつまでも。
ぼくは、彼のピアノの音に出会えてよかったと思う。
新しい戦争が繰り返される今。
世界中で「最もやさしい音なんだ」と思う。
これは間違いなく「奇跡の音なんだ」と思う。
横山起朗くんのピアノ、ぼくは本当に好きだな。
(鈴木惣一朗 a.k.a World Standard)
【Track List】
1. Bittersweet is the Moon / 月は甘く苦く
2. Other Voices, Other Rooms / 遠い声 遠い部屋
3. Floating Clouds / 浮き雲
4. A rose is A rose is A rose / ア・ローズ・イズ・ア・ローズ・イズ・ア・ローズ
5. Evening Calm / 夕なぎ
6. Little Sorrow / ひとしきりの哀しみ
7. Like the Twilight Flowers / 夕暮れの花のように
8. Marronnier / マロニエ
9. Deeper Is Our Love / 愛はふかく
10. Wuthering Heights / 嵐が丘
レーベル:Stella
品番:SLIP -8517
フォーマット:CD