the neverminds / nevermind, the winter. (Cassette Tape)のレビュー

the neverminds / nevermind, the winter. (Cassette Tape)
the neverminds / nevermind, the winter. (Cassette Tape)

「オレって間違ってるかも知れない」
DJはプレイする。みんなは盛り上がる。
バンドは演奏する。最高の曲を。
だけどその日、なぜだか僕はまるで盛り上がれなかった。
僕が求めた世界、そのマイノリティの中でも僕は孤立していた。
理由は何故だか分からなかった。
自分はセンスがないのかも知れない。
その晩、若いバンドがある曲をカヴァーした。
僕が好きだったイギリスのバンドの曲だ。
ヘタクソで、なのにハードロックチックで、そしてロマンチックなバンドだった。
僕しか好きじゃないと思っていた曲を僕より若い彼らは凛として演奏して不思議な気持ちになった。
その後、SNSでヨムキクノムの発信でthe neverminesを知った。
曲は「MELT」。
僕は日本のバンドだと思ったが、彼らはカナダのバンドだった。
SNSの発信で知ったなんて、あまりロマンチックではないかも知れない。
しかし、今やY2Kなんて言われている時代を何か思い出せるものがあったんだ。
渇いたギターのサウンドと憂鬱を抜け出すかのように走り出すボーカルは例えばasobi sekusを聞いた時の様な、或いは「シン・エヴァンゲリオン」の終幕の様な、死と生の狭間の蒼さを感じたんだ。
そして、実際にカセットテープも青かったんだ。
僕は誰かとこの感動を共有したくてSNSに投稿した。馬鹿みたいに何度も。
友達から韓国のバンドの音源を紹介された。
サンプリングされた音源から始まるその曲は
「何観てるの?」
「リリィシュシュの全て」
全てが繋がった気がして、僕はこのカセットを聴きながら走り出したんだ。

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ずんだもんさん