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カートゥーン・シューゲイズ・ユニット、The Otalsが2025年最初の作品集となるEP『The 100 Things』をリリース。
本作は、3年の活動を経て初のライブにしてワンマン『To The (Blue) Moon And Back』の直後、2024年8月に制作を開始し9月上旬には全楽曲が完成したという、初ライブの勢いをそのままに詰め込んだ7曲入りEP。CDには8曲目として「イヴとアリス」を追加で収録!
今作はバンド・サウンドを中心に据えたシンプルな楽曲とアレンジが目立つ、ある種The Otalsの原点回帰と捉えることができるかもしれない。一方、冒頭に収録された「ムテキノユウエンチ」は、攻撃的なベース・ラインと歪み切ったヴォーカルによるダーティーなサウンドと、曲中で突然リズムとメロディーが急加速するカオティックなナンバー。歌詞も破滅的なカジノでの一夜を描いた暴力的なもので、既存のThe Otalsのイメージとは大きく異なる挑戦的な新機軸。さらに、ドラゴン少女との友情を描く「ドラゴンなんだって」や、離散した家族への気持ちを娘の視点から描いた(と考察されている)「ウチは泣きそーです」、停滞した雰囲気が充満した車中でのやり取りを描いた「このまま、海まで」など、これまでのThe Otalsのイメージであった“甘酸っぱいボーイ・ミーツ・ガール”的な物語からは少し距離を取り、よりバラエティに富んだ色遣いが見られるバンドの世界観を外側に押し広げた楽曲が中心となったEPと捉えることもできる。
サウンド面もシンプルになり、前作までよりファズ・ギターやドラムの存在感が強く、よりフィジカルなイメージが強調されている。エイト・ビートとパワー・コードというあまりにシンプルなアレンジが、彼らのルーツであるインディー・ポップやゼロ年代のオルタナティヴと紐づいていることは想像に難くないが、ポップ・ソングの方法論が一般化し、コードやリズムが複雑化し続けている現代において、対局をなす無骨なアレンジはむしろ新鮮だ。それでいて感情に身を委ねるような激しいものではなく、ある種の穏やかさや少し冷めた青年の視点を持ったThe Otalsらしいカラフルな物語が宝物のように詰め込まれた、“懐かしくも新しい”1枚。
< 特典 >
イラストカード(*絵柄はランダムです)
BMGR-0006
format:CD
label:Blue Moon Garage
release:2025/02/12
track list:
1. ムテキノユウエンチ
2. ドラゴンなんだって
3. ウチは泣きそーです
4. このまま、海まで
5. 秋を急かす100のこと
6. リズのきもち
7. 電気軌道よ春を行け
8. アリスとイヴ(*CD Only)